非ステロイド治療
重要事項◆一定のスコアを維持している「保険外治療」
アトピー性皮膚炎は慢性疾患の一つで完治は困難です。即効性のある治療法なんて無いのは理性では判りながら、感情のおもむくままに医師の指示に従わず次々、転々と病院を渡り歩くアトピージプシーも未だに見かけます。その多くが保険外治療の特定療法の求め、時には良好な結果を得、時には振り出しに戻って惨めな思いをする…。そんな特定療法もステロイド不適合の患者さんがいるかぎり一概に否定できません。幾つかを紹介します。
西式療法(減食療法)
甲田光雄医師が提唱する「絶食状態に限りなく近い減食療法」は、悪化している腸内細菌叢環境の再構築という意味で有効だと聞いております。腸管の状態が皮膚に現われるという相関関係は存在するようです。一つには摂取アレルゲンの多くは腸管から吸収されるからで、この「窓口」が正常に機能していないとチェック機能が働かず、また腸内細菌叢の乱れが有害物質を阻止する働きを損ない、さらに腸内でも悪化要因のある物質を産生し腸管から吸収されて悪さをするという説。この腸管からアレルゲンが入らないようにする甲田医師の「戸締り」論は大きな説得力があるようです。
SOD抗酸化療法
免疫力を損なわないレベルでバランスを保ちながら細胞を傷つける活性酸素を排除する。このためにSOD=スーパーオキサイド・ジェスムターゼという抗酸化酵素を外部から補う事でアトピー性皮膚炎の掻痒感を抑制し皮膚病変の改善を図るのがSOD療法。
SODという医薬品は未だに開発されていませんがSODを多く含む食品は判明していて、その有効な配合を行なったものが「SOD様食品」です。土佐清水病院の丹羽医師が提唱するこの療法は賛否両論ながら、一定の有意義なスコアを保っています。
漢方療法(一部保険治療)
漢方の考え方は病気といても一人一人の病気の出かたが違い、それは体調や気力、季節による影響を受けていて、それを見分けて漢方薬を処方するというもの。いわば「元祖オーダーメイド治療」といえるきめ細かな治療方針です。したがって高度に専門的で本格的な漢方教育を受けた医師にかかることが絶対条件です。また漢方は薬局薬店でいとも簡単に対応してくれますが、専門知識のある薬剤師であるかどうかを確かめて指導を受けてください。なお小児への対応は少し難しい場面もあるようで漢方教育を受けた小児科医を訪ねてください。さらに長期服薬となりますので経済的なことも配慮してください。
心理療法(一部保険治療)
アトピー性皮膚炎は遺伝要素、環境要素に加えてストレスなどの心理要素も大きく影響しています。
患者さんが抱いている心のわだかまりや、過去に何らかの理由で傷つき、心の奥底に巣くっている「トラウマ」を脳裏より追い出すことでアトピーが軽減すると考え実践しているのが元神戸労災病院(現開院)の清水医師。
メンタルケアの重要性は云うまでもなく、アトピーには皮膚科より精神科が必要と極論する声も聞かれます。精神的負担を軽減すればアトピーも軽快することは確かです。
禅寺や宿坊などで講話を聞き座禅を組んで瞑想する精神修養は、アトピーに振り回された自己を見つめなおし、本来の自分らしさを取り戻す意味でも有効です。
温泉療法
湯治場のある温泉に事情の許す限り長期滞在しゆったりとリラックスし温泉に浸かることはとても有意義と多くの医師はその効果を否定しません。酸性度が高い温泉は避けてください。泉質による効果に極端な差は無いようですので遠くの湯治場より手近な温泉にしばしば通うことをお勧めします。
専門業者の宅配による温泉湯は温泉の効力に半減期があるためアトピー性皮膚炎に対しての治療効果は
不明です。また年間に支払う金額は莫大、その金額でご家族と一緒に湯治に出かけたほうが何倍か効果が期待できます。
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資料提供 日本アトピー協会