環境の要素
◆摂取要因=摂取アレルゲン
食べ物からの影響はとても大きく、とくに乳幼児に発症するアトピー性皮膚は腸管未発達によるさまざまな食物の消化不良が原因とされています。しかしながら加齢とともに食物自体の影響は少なくなってきますが、今度は食品添加物や残留農薬の影響が大きく出てきます。従来の三大栄養素を軸とした栄養学では対応しきれないこともあり、タンパク質の分子量の大きさや、脂肪や油の種類、微量ミネラルの働きなど、多くの事柄を学んでおく必要が生じてきました。しっかりとした「食育」の考え方を持つことがとても重要となっています。
タンパク質
食べ物がアレルギーを起こすのはタンパク質をつくっている「高分子」の分子量の大きさが原因のようだと判ってきました。三大アレルゲンといわれている「鶏卵」「大豆」「牛乳」の分子量はすべて2万以上とされています。ただ調理や食品加工の工程で分子量が小さくなってアレルギーを起こさなくなる場合が多いようです。
タンパク質を知ることで「食べられないモノ」から「食べていいモノ」に転換させる方法を学んでください。例えば鶏卵は黄味と白味、ゆで卵か目玉焼きかスクランブルエッグなのかによって、それぞれ分子量が違ってきます。ゆで卵も「固ゆで」か「半熟」かによってアレルゲンになる度合いも変わってきます。
さらに大豆も醤油や味噌、納豆などの発酵食品となった場合はアレルゲンが消えていることもあり
ます。医師の指導のもとに日々の暮しの中で学びとってください。卵がダメならタラコもイクラもダメという発想はナンセンスです。
脂質
脂肪酸とグリセリンを含んでいるものを脂肪と呼び食物中の脂肪を脂質と呼んでいます。てんぷら油やサラダ油のような常温で液体状のものを脂肪油、バターやラードなど固体のものが脂肪で、植物から採ったものと動物から採ったものがあり、脂質がアレルゲンとなる場合は脂肪自体ではなく脂肪が酸化して別の物質に変化した場合が多いようです。
生活習慣病の多くは脂質の摂りすぎが原因とされていますが、栄養素として利用される過程で活性酸素や化学伝達物質と呼ばれているからだに良くない働きをする生理物質が、ほかの栄養素より多く含まれていることが判ってきました。脂質は必ずしも動物性が悪玉でゴマ油やオリーブ油に代表される植物性が善玉とは限らないということで、脂質についてはまだまだ解明されない分野があるようです。
なお月見草油やボラージ油(地中海沿岸で栽培されている月見草類の植物)にはガンマーリノレン酸のように皮膚の掻痒抑制に有効な働きをするものもあって、これを摂ることによって痒さが抑えられるとする研究もあり期待したいものです。
糖質 体内に入って活動のエネルギーとなる糖質にはアレルギー物質はなる見当たりません。ただ糖質の摂りすぎが体内脂肪を増やしその結果、体に変化が起こリます。また患者さんのあいだではグラニュー糖などの白い砂糖が「悪玉」で黒糖や「きざら」など未精製の砂糖が「善玉」というのが定説のようですが、はっきりとした根拠はないようです。
繊維質 繊維質がアレルゲンになることは少ないようです。繊維質は野菜に多く含まれ水溶性と非水溶性がありますがいずれも整腸作用があるとされています。腸内には大腸菌を主体とした固有の細菌叢があり便を良好な状態に保っています。便の状態が崩れ腸管壁を傷つけると、そこからアレルゲンが体内に侵入し血管を通って皮膚に病変をもたらします。また腸管壁も体を覆っている皮膚や粘膜を含む「皮膜」と考えた場合、腸内の状態とアトピー性皮膚炎とは関連性があっても不思議ではありません。じっさいにお腹の調子が悪くなるとアトピーが出てくる方も多く、皮膚科医と内科医の連携でこのあたりを研究して頂きたいものです。
ミネラル 環境要素として直接アレルゲンとなるものではありませんがミネラルについては多くの誤解があるようです。サプリメントの広告などでは良いこと尽くめのようですが「欠乏症」だけが強調され「過剰摂取」の害は知らされていません。その辺は少し慎重になってください。そしてサプリメントに頼らず自然の食べ物からミネラル分を摂るようにしてください。
食品添加物 あらゆる食品は何らかの食品添加物が加えられ、また添加物を加えなければ市場に出すことはできません。法律で決められ監督官庁が厳しい規制をしているもののアレルギーの方と一般の人との許容量は違ってきます。食品添加物を加えていない自然食品というのは自家製の手作り以外は存在しません。自然食品の店や頒布会などいっけん安心安全風ですが完全ではありませんし、やはり「売らなければ商売は成り立たない」原則があり、だれも慈善事業でモノを売りません。自然という定冠詞を付ければ普通のモノでも高く売れます。その辺を見抜いていただくとともに、虫眼鏡で添加物を厳しくチャックして勉強してください。
別項に一覧表を掲載しております。
残留農薬 農薬なくして農業は成り立ちません。これも添加物と同じで「どの辺で妥協するか」が大切です。完全無農薬を求めると「買ってはいけないモノ」ばかりとなります。無農薬、有機栽培、減農薬という定冠詞をつけると高く売れるカラクリに気づいてください。アレルギーがあるからといって避けるより、少々のモノには目をつむって「慣れて」ゆく事が肝心です。人の体はタフにできています。
別項に一覧表を掲載しています。
◇主なミネラル
1日の必要量をmg、μgで表示
■カルシウム 800〜1200mg
ほとんどの食品に含有、とくに乳製品、魚介類
欠乏症
骨格の発達異常、骨粗しょう症
過剰摂取
高カルシウム血症、腎不全、胃腸アトニー、惰眠
■カリウム 800〜1200mg
ほとんどの食品に含有、とくに乳製品、ドライフルーツ
欠乏症
低カリウム血症 心臓障害 運動麻痺
過剰摂取
高カリウム血症
■リン 800〜1200mg
乳製品、肉類とくに鶏肉、ナッツ類
欠乏症
血球異常 消化器の機能不全
過剰摂取
高リン酸血症による腎不全
■マグネシウム 250〜300mg
ほとんどの食品に含有
欠乏症
神経筋の過敏反応
過剰摂取
低血圧、呼吸不全、心臓障害
■鉄  12mg 女性は15mg
ほとんどの食品に含有、とくにレバーなどの獣内蔵肉、大豆など。
なお食品には85%がヘム鉄として含有
欠乏症
貧血、学習や作業能力の低下、さじ状爪
過剰摂取
皮膚色素沈着、糖尿病への悪影響
■ヨウ素 100〜200mg
ほとんどの魚介類、海藻、卵、乳製品
欠乏症
甲状腺腫, 胎児の成長不良、なお放射線障害に著効ありという
過剰摂取
甲状腺の機能亢進、粘液水腫
■亜鉛 15mg
魚介類とくにカキ、獣内蔵肉、卵
欠乏症
皮膚障害、味覚減退、性腺機能低下、なおお肌の美容に良いという
過剰摂取
神経障害
■クロム 50μg
ほとんどの食品に微量含有、とくに乾燥酵母
欠乏症
糖尿病患者の糖機能障害
過剰摂取
皮膚炎症
■セレン 50〜70μg
ほとんどの食品に微量含有
欠乏症
血球異常 消化器の機能不全。なおセレンの欠乏症は非常に少ない
過剰摂取
高リン酸血症による腎不全
■銅 1mg内外
ほとんどの食品に微量含有
欠乏症
貧血、ちぢれ毛
過剰摂取
胆汁性肝硬変
■フッ素 1〜4mg
海洋性の魚類、茶、法定でほとんどの水道水に1ppm内外を含有
欠乏症
骨粗しょう症、虫歯
過剰摂取
骨格変成、歯のエナメル層脆弱
■モリブデン 100〜250μg
マメ科、全粒穀物、獣内蔵肉
欠乏症
頻脈、感覚麻痺
過剰摂取
不明
 
微量ミネラルは偏食をしない限り通常の食事で充分に補われます。ミネラルを気にするあまりサプリメントなどで偏った補い方をするとかえってバランスが崩れてマイナス要因となることがあります。特にアトピーやアレルギーを持っている方は気をつけてください。ミネラルに関してはまだまだ判らないことが多く今後の研究に待たれます。摂取バランスが崩れると肌にトラブルが起きるという説もありサプリメントへの過剰な期待はもたないほうがいいようです。いずれにしましても医師に相談してください。
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資料提供 日本アトピー協会